8月分も無事開催できたのでプレイできたタイトルについて簡単に感想などをアップしておきます。
“ブゾク”(大山武/ツクルカ/2014年)
珍しい2対2のペア戦による一種の陣取り型カードゲーム。
手番はチーム単位で、2人がそれぞれ1枚計2枚のカードをプレイすることで終了。
チーム内で話し合えるのはそれぞれが裏向きでカードを決定した後で“どちらが先にプレイするか”のみ。
場の状況から“最も理想的なカードプレイの形”がまあ大体は想像できるので、後はその理想型を実現すべくうまく意思疎通しつつ実行していけばいいわけですが、手札が3枚ということもあり、その制限や兼ね合いもあってそうそう上手くはいかないというのが現実。
複雑すぎないシンプルなシステムがこの2対2というままならない構造とバランス良く同居しており印象は上々。手札交換のコストに先行後行のチームで差が設けられている点も上手い調整ではないかと。Positive-。
テーマに則った雰囲気のあるアートワークがまた素晴らしいですね。
“カピトール”(アラン・ムーン&アーロン・ワイスブルム/シュミット/2001年)
古代ローマ、9つの地区をめぐる熱い陣取り。
1枚のカードに“プレイできるアクションの種類”と“競りの時のお金”2つの情報が併存しているのが特徴のひとつ。まずはそこをふまえたハンドマネジメントを意識することが必要。
建設できる建物も“屋根”と“高さ”ふたつの点で制限が設けてあり、各プレイヤーの手元にてコツコツと建設された建物は建て直し/リセットできないので、この点においても細心の注意が必要。
入手できたカードと場の状況、そして各プレイヤーの手元にて建設されている建物の情報をもとに、総合的に最善と思われる判断を下していくことが必要なピュアユーロで、シンプルながら奥深い読み合いにセッションが白熱する競技性も十分な、そして古さを感じさせないムーン&ヴァイスブルムの傑作。Positive。
カラフルな屋根が立ち並ぶ牧歌的な盤上の情景はドイツゲームの良心そのものの具現か。
“ブループリント”(イヴ・トゥーリニ/ズィーマン/2013年)
発売されたばかりの日本語版にて立卓。
場の7つ(4人プレイ時)のダイスからひとつを選択し、衝立に隠された各プレイヤーの青写真に載せ、建物を建築していきます。
各自に6つのダイスが供給されたら衝立を開放して公開し、建物に与えられる“評価点”から相対的に勝利点を獲得していくというシステム。
4種類のダイスそれぞれに加点できる決まりがあったり、ダイスの組合せに応じては特別に勝利点が与えられたりするので、得点のための道筋に十分な選択肢が用意されており、この辺りは全体的にシンプルなゲームながらしっかりと戦略的で、経験豊富なフリークにも受け入れられそう。
シンプルで収束性も十分ながらしっかりとボリュームもあって評価はPositive-。
付属の巾着袋が大きくなったのは良い改良点ながら結局はやや小さく依然として役不足なのには微妙感を払拭できませんねw
“火種”(ミヒャエル・キースリング/1×1/1995年)
古いキースリング単独作ということで物珍しさも手伝って興味を持ちつつセッションに臨んだのですが、BGGにアップされている英訳ルールに少々不備があったのか、この日はルール運用が十分ではなく、残念ながら結果的に本作を堪能できずに終わってしまいました。
囚人たちがロケットで太陽に飛び込んでいくというぶっ飛んだ設定(アートワークもバカゲーっぽい)の、一種の変型レースゲームともとれるユーロ。
どうやらコツコツとコースレイアウトを構築し、ここぞという瞬間でダッシュするような感じのゲームのようで、正規ルールでプレイできればそこそこ面白そうなので再戦希望。
まあゲームではなくセッションの印象でいえばNegativeかな。
“サラマンカ”(シュテファン・ドラ/ツォッホ/2006年)
ドラによるタイル配置を利用した本格陣取り。
同色の正方形タイルによるエリアの形成は、なるほど名作“アクワイア”が引っ張り出されるのにも納得。
“災害”による足の引っ張り合いが少々厳しい印象で、重苦しい空気がセッションを支配する重厚なユーロというのが率直な印象。この胃に来るようなヘヴィネスは人を選ぶような気も。
ゲームとしては破綻なくしっかりと完成されているので勿論悪くはないのだけれどあえて本作を棚から引っ張り出す理由は希薄か。Neutral+。
ドラともツォッホとも思えない、フリークがどっしりと腰を据えて参加する骨太なタイトル。
“バトルシープ”(フランセスコ・ロッタ/ブルーオレンジ/2013年)
シンプルなルールの多人数アブストラクト。陣取り。
おちゃらけたアートワークからは想像できない、ちょっとした判断ミスが敗着になりかねないきっぱりとした厳しさが魅力で、とはいえ自分の実力ゆえのものと納得できるので不満は残らず、むしろその収束性の良さもあって再戦意欲に繋がるナイスゲーム。
シンプルなルールゆえ整理しやすい盤面の情報量からキングメーカー問題、お仕事問題等々との直面は避けられないという一面は確かにある。がプレイヤー同士の攻撃関係(やった/やられた)が如実というか見えやすいのは本タイトルの長所でもあろうかと。
これを待っていたと言わんばかりの快心作の登場。Positive。
“dois”(新澤大樹/倦怠期/2014年)
国産トリックテイクの新作を再び立卓。
スートとランクが分離されているという目から鱗が落ちるような斬新なシステムと厳格なマストフォロー、そして獲得トリックを予想するビッド系の幸福な出会い。
前回はビッド系ながらミゼール0点にちょっと固執したせいもあったのか、あまりぱっとした印象がなかったのですが、それじゃあがんがんトリックを取りにいけばいいわけだとばかりにポジティブにプレイの方針を変更したのが良かったのか、今回は滅法楽しめました(しかしトリックの行方が全く読めず勝敗に関しては惨敗もいいところでしたが…w)。
ミゼール成功時の報酬はあった方がいいという考えは変わりませんが、完成度競技性共に高い良質なトリックテイクではないかと評価は上方修正。Positive-。
“サクランボ狩り”(ジェロエン・ギーネン/ツォッホ/2014年)
美しいイラストのアートワークも印象深いツォッホからのバッティングカードゲーム。
プレイされたカードの種類により処理を段階的に順番に行っていくのが特徴的。
制限された厳しい状況下でのハンドマネジメントはままならなさそのもので、可愛らしい雰囲気とは裏腹に、セッションにおける選択のジレンマに爽快感はほとんどなく、すっぱりと諦めて流れに身を任せる潔さも時には必要かも。
得点計算も含めて全体的にちょっと込み入ってる印象もあるけれど、上手く纏めてあり、システムの完成度は悪くない。がまあ心に響いてくるアピールも強くはなくNeutral+。やや複雑な処理が僕には評価のマイナス補正になっている感あり。
“ナイトクラン”(Y.Ohashi/風栄社/2014年)
ハンドマネジメントによる一種の正体隠匿、アクションプロット、エリアマジョリティ等々の諸要素からなる国産同人。
ハンスの“陰謀”のようにカード列に手札を次々にプレイしていく感じ。
決算で全てのカードが公開され加点処理される。
シンプルな読み合い、推理が高い収束性との相性も良く、悪くない。が前の“サクランボ狩り”同様、個人的な訴求力は今一つか。Negative+。
緑と黄色の識別にやや難があるようにも思えましたが、萌え一歩手前ギリギリで踏み止まった美しく耽美的なアートワークは素晴らしくも美しく、雰囲気の構築に大きく貢献できているかと。
以上この日は軽めのタイトルが多かったせいもありがっつりと9タイトルを消化しました。ではまた来月!
0 件のコメント:
コメントを投稿