2014/09/17

UDA土曜ゲーム会('14/09/06)

9月のUDA会レポートです。プレイできたタイトルについての雑感等をアップしておきます。

“ドス・リオス”(フランツ・ベノ・デロンジェ/コスモス/2004年)

水が(物理法則に則り)高い所から低い所へ流れていく、高低の概念があって川の流れがより低い所に進んでいくというアイデアをボードという二次平面上に上手く落し込んでいるデロンシュのルールを読んだときには「おお!」と惹きつけられましたが…。

潤いをもたらす貴重な二本の水源をめぐる一種の陣取りで、高低を把握した場所取りも“ならでは”の味わいが確かにあったのですが、いかんせんダウンタイムの長さだけは如何ともし難いものがあり、閉口せざるを得なかったのは残念。

完成されたシステムのみが提供され、後はプレイヤーの柔軟な戦略のぶつかり合いとなる自由度の高い世界に僕などは“デロンシュらしさ”を感じ、けして嫌いなテイストではないものの、このボリュームで流石に実プレイ3時間にはいささかぐったり。Neutral

アイデアは光っていますが4人は多すぎるタイトルだったのかも。

“ラインレンダー”(ライナー・クニツィア/ハスブロ/1999年)

蛇のように曲がりくねる河川の河岸をめぐる陣取り。

基本的にはカードのドロー&プレイで自陣を強化しつつ他者の領地の併呑を目論むシンプルな大が小をのみ込むタイプの陣取り。

基幹はシンプルながら壁の役割を果たし不可侵を可能とする“要塞”や、最終的な勝敗の決定が緻密な勝利点の計算に依るところなどなど本作ならではの妙味がしっかりと確立されており、セッションは非常に楽しめました。

なるほどたしかに“クニツィアのアクワイア”という説があるのも納得で、大雑把にいえば確かにそれが手っ取り早い説明ですが、名作の秀逸なエッセンスを独自に消化しつつ、その先で単なる模倣に堕しているわけもなく、システムを理解した上での緻密な指し回しが領地の保有権逆転等々に活きてくる余地が残されているあたり、単純なカードドローの運次第のタイトルには終わっていない充実作という印象で評価はPositive

これは今後機を見てはリプレイしていきたい一作か。こういうクニツィアは大好き。ユーロの持つ魅力もたっぷり。

“OLE-KAJI”(田上雄一/TAGAMI GAMES/2014年)

ワーカー配置に拡大再生産、リソース管理、特殊効果のカードという、既に慣れ親しんだ感もあるゲーマーズゲーム。日本人作。

“プエルト・リコ”以降の“テキストのある”戦略的なドイツゲーム(あるいはユーロ)路線の一作で、その手の(現時点での)集大成的なものに挑戦(あるいは作者自身が純粋にどうしても作ってみたかった)し、結果的に至極真っ当に成功している佳作というのが第一印象。

要素の多さから経験値の少ないボードゲーマーにはトゥーマッチの一言で避けられてしまうかもしれませんが、全体的に個々の要素がバランスよくまとまっている完成度の高さからか、全6ラウンドはあっという間で、各プレイヤーが己の進むべき方針、戦略に知恵をめぐらす愉悦をたっぷりと堪能できる良質で正統派のゲーマーズゲームかと。

個人的には運や揺らぎの要素(確かにカジノや黒魔術というアイデアは面白い。しかし各ラウンドのワーカー数がダイスロールで“概ね”決定されるというのは冒険的!)がこの手のタイトルにしてはやや強め(強力なランダムイベントの発生には賛否両論ありそう)と感じられた分僕はマイナス補正で評価はPositive-

まだ他にもありそうだが大量得点のためにはとりあえず“建築型”と“航海型”ふたつのタイプは存在する模様。

しかしよくぞこれだけの要素をバランスよくうまく纏め上げたものだよなあ、と感心しきり。

“七人の賢者”(ライナー・シュトックハウゼン/アレア/2002年)

ラウンド毎にプレイヤー同士の自由な交渉にて二つの陣営に分かれ、シンプルなカードプレイで互いの陣営の優劣を競います。

“昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵”を地で行くようなメカニクスの、なるほどこういう形でのマルチもありなんだな、という新鮮な驚き。

例えパートナーとなったとしてもゲームに勝利するのは最終的には最も勝利点を獲得した一人のプレイヤーなので厳密には敵であり、1ラウンドのみという短い期間での呉越同舟という感覚は一種メタゲーム的で、視点の位置が重層的に用意されているかのような感覚こそ本作ならではの妙味かもしれません。Positive-

この作者らしい地味渋ゲー。

“ネヘミヤ”(ルーカス・ウォズニアク/グライ・レオナルド/2014年)

ポーランドの出版社からの“メルクリウス”などの若手デザイナーによるワーカー配置、リソース管理、エリアマジョリティ。

ワーカーを配置するカードが縦列横列で整然と並べられており、ワーカーは各縦列ごとに上から埋めていくというのが緩やかな縛り。配置されているワーカーをアクティブにしてアクションを発動するときに若干のコストを支払うことでそのワーカーより上にある発動済みワーカーを再発動できるというのが本作ならではのメカニクス。

各種アクションがシンプルで分かりやすいためか、基本ルールのみでのプレイだと良質な適度ゲームという印象。もちろん悪くはないのですが経験豊富なプレイヤー同士であれば最初から競り要素の取り入れられたオプションルール込みでのプレイのほうが推奨できるかも。Neutral+

相手にいいカードを獲られたくない、そして自分が狙いのカードに置きたいという側面が濃厚なため“これは洗面器ゲームだな”とセッションの間ずっと感じていました。

“木食い虫”(クラマー&キースリング/クィーン/1998年)

名コンビによるシンプルながら完成されたカードゲーム。

絶対値を基にした緩い縛りの中で手札をプレイしていくわけですが、早く手札をなくして30点獲得を目指すか、コツコツと手堅く場札を回収していくか、プレイヤーのとる方針は大きくこの二つに分けられる感じ。

地味ながらしっかり完成されており十分に楽しめました。本タイトル立卓時点で午後11時を回っておりこの日は眠気に襲われていたせいで半ば朦朧としていたためワンディールのみで終了せざるを得なかったのが悔やまれましたが…。

良質なジレンマのお手本のような一品かと。Positive。今後まだまだ立卓する価値はありそう。



以上この日は全6タイトルを一日かけてたっぷりと楽しみました。参加していただいた皆様に謝意を。ではまた来月。

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