2014/10/31

越前市(福井)ボードゲームの会 10月ゲーム会('14/10/26)

26日の日曜日は主催する地元オープンゲーム会の開催日でした。

ここ福井は越前市で最高気温27度を記録した秋晴れの快晴の一日、窓を開放し終日たっぷりとテーブルゲームを楽しみました。

プレイできたタイトルについて雑感等をこちらにアップしておきます。

“戦国時代”(ライナー・クニツィア/ファンタジー・フライト/2014年)

まずはこのクニツィアの新作から。

場に並べられた城をダイスの出目によって陥落させ勝利点として入手します。

インスト10分の非常に分かりやすいダイスロール系。実プレイは30分ほど。

特殊カード(能力)の類いが一切登場しないのが潔く、またそれゆえ実にプレイしやすいという印象。

自手番での第一ロールの出目で最も確率的に低い(というか希少価値が高いというか)組合せからその手番で標的とする城を決定したら後はダイスロールの出目次第(これがセオリーと思われる)ということで運要素は強い。一言でいうと“人事を尽くして天命を待つ”タイプ。標的とする城を決定した後はプレイヤーの意志が介入する余地は少なく、ジレンマは薄いというのが現時点での僕の解釈。Neutral+

シンプルなほぼダイスロールのみのゲームを楽しめるかどうかで評価は分かれそう。ダイスロールの結果に一喜一憂できる面子で卓を囲めれば盛り上がれるタイトルで、この日のセッションがそうだった。

言語依存はほぼないですが明朝体の漢字が載ったカードは悪くない。

“ビュッフェのたたかい”(マーティン・ワレス/コスモス/2011年)

名作“ウントチュース”のワレス自身によるリメイク。

カードにすべてが集約され一元化されていた前作がハンドマネジメントとしてのカードと勝利点としてのタイルに分けられた点が最大の変更点。また勝利点となるタイルがカテゴリ分けされたことで各プレイヤーの諸事情がインタラクションを産みだしており、読み合いや駆引きの奥深さは今作の方が上。

シンプルゆえにジレンマが引き立つカード版かより豊かな駆引きの楽しめるボード版か…プレイヤーは選択する幅が広がったといえるかも。

ワレスというとどうしても重量級の濃い作品のイメージが強いけれど、こういうファミリーストラテジを作らせても一級品で、本作からもデザイナーワレスの非凡な才能を感じる。

余計なものが一切なく、ゲームの楽しさに没入できるプレイアビリティの高さも好印象で、純粋にドイツゲームとしての到達点も相当高いという印象。Positive

5人というプレイ人数も良かったに違いない。この日のベスト。

“GO STOP”(沢田大樹/レイトとこぶしゲームクラブ/2005年)

海外で高く評価された日本人デザイナー作のシンプルなバッティング系カードゲーム。6人。

永らく入手の難しい状態が続いていたオリジナルに代わり、今春国内パブリッシャーにより再版されたアートワークも美しい2014年バージョンで。

1から10まである得点カードの獲得をめざし、“GO”か“STOP”のカードをプロットするというシンプルなもの。ただしバッティングした場合は無効となることから厳しいとさえいえる非情な心理戦が始まる。

ほとんどフレーバーらしきものがない骨組みだけの簡素ともいえるシンプルなルールのみのゲームで、それゆえ圧倒的なまでの心理戦に向き合わざるをえないという構図。

こんなシステム原理主義のお手本のようなゲームの作者が日本人であることに我々は胸を張ってもいいのでは、という思いも。Positive-

極端ともいえる淡泊さと背水の陣ともいえる心理戦に逃げ出したくなるか、切れ味一本勝負の潔さに惚れ惚れとするか、ゲームに参加するプレイヤーもはっきり二分されそう。僕は後者。こういう作品が時の風化に耐え、後世まで残るような気がする。

“チケット・トゥ・ライド~インド”(アラン・ムーン/デイズ・オブ・ワンダー/2011年)

名作の拡張マップ。4人。

“マンダラ”とネーミングされた新しい得点計算方法が独特で、1枚の行先チケットを異なる2つのルートでつなぐことでボーナス点が得られるというもの。
がこれがなかなかに難しく、ぎゅぎゅっと線路が集中した中央部は特に激戦区で、自分の行先チケットや盤面の状況とにらめっこして吟味した結果これは無理と判断しマンダラボーナスは無視してシンプルに行先チケットの1枚でも多い達成を目指しました。

マンダラでいくかノーマルにチケットでいくか、大きく二つに選択を迫られるやや上級者向けのマップというのが僕の印象。

馴染みのないインドの地名との照らし合わせがプレイアビリティに影を及ぼしますが、ハンドマネジメントとネットワークビルドの幸福な出会いがもたらす本作ならではの醍醐味は健在で、その高い完成度を再確認するなど。Positive-

プレイ後まだ未プレイの拡張マップもすべてプレイしたくなりました。

カラフルな列車コマがルートに則りボード上にそれぞれの軌跡を形作っていく光景が大好きなんですよね。

“斬サムライソード”(エミリアーノ・シアーラ/dVジョーキ/2012年)

秘密裏に3つの陣営に分かれて行うチーム戦。5人。

手札をプレイすることで敵対すると思われるプレイヤーのライフを削っていくシンプルな殴り合いがメインとなるテキスト中心のカードゲーム。

テキストの効果にそれほど派手なものはなく、フレーバーを楽しみつつワイワイ盛り上がるのが本作の真っ当な楽しみ方か。

いずれの陣営に属するのか、プレイヤーのアクションからもう少しヒントが与えられる(そして陣営の類推が的中することにメリットがある)方が僕の好みではありますが、まあこれはこれで十分ありで、“ごっこ遊び”としてのパーティゲームと考えればまずまずの完成度というのが僕の印象。Neutral+

“居合い”と“残心”を覚えた“武蔵”が無双の強さで盛り上がりました。(しかしそれゆえに狙われ結局は終了フラグをオンにしてしまいましたがw)


この他私の参加しなかった卓では以下のようなタイトルが立卓されていました。

“バサリカードゲーム”ですね。カードゲームとして手軽に“バサリ”が楽しめるようになった佳作です。

もう間もなく日本語版が発売される見込みの“グラスロード”です。これはドイツ語版。けして重量級というほどでもないプレイアビリティの高いタイトルのようでした。



以上この日もたっぷりと堪能した一日でした。参加していただいたみなさんに謝意を。また次回、お相手宜しくお願いいたします。

2014/10/28

UDA“マデイラ”会('14/10/22)

先日昨2013年のエッセンにて発表された注目作のひとつ“マデイラ”をプレイするためのゲーム会を開催しました。

入手以来未プレイのまま一年近くゲーム棚に眠っていたタイトルのひとつをこの日遂にプレイすることができました。

この日はこのメインディッシュと、その前の前菜とでも言うべき3種のゲームを立卓、計4つのゲームを一日にわたりプレイできました。時系列に則り立卓した順に各タイトルの簡単な感想をこちらにて紹介したいと思います。

“グランド・ナショナル・ダービー”(ライナー・クニツィア/ピアトニク/1996年)

まずはクニツィアの旧作から。初プレイ。3人。

8頭の出走馬が計5回篩にかけられ、生き残る3頭の馬を予想します。

早い時点での正解ビッドほど点数が高いことからゲーム終了までの未来を見越したハンドマネジメントが求められるのと、プレイされたカードは誰でも何枚でも上書き可能というのが特徴的。

手札の内容からマネジメントの将来的な計画を練ることの醍醐味が、シンプルなシステムの中で端的に楽しめる、クニツィア的な切れある一作。十分に面白い。

3人はやや少なかったせいもあるのか、今回のセッションでは終盤で明らかなキングメイカー問題が出現してしまいましたが、それもそれまでの展開の結果として納得できてしまう説得力の強さを感じるなど。Positive-

似たようなシステムのゲームがトランプにもあって、クニツィアがそれをどこまで意識していたか等々は興味深いところ。

“カテナ”(ライナー・クニツィア/プロリグノ/1992年)

ひきつづきクニツィア。こちらも初プレイ、3人。

大雑把に言えば、7つの陣地をめぐるエリアマジョリティ。エリアは個々のマスからなり毎回指定されたマスに全プレイヤーが同時ビッドを行いマスを落札。マジョリティを得たプレイヤーがそのエリアのマス数分の得点を得る。

贅肉の一切ない、骨組み、システムのみで構成されたソリッドな一作。加えて運要素もないから多人数アブストラクトとも言える。

コマの数値の関連性で若干の遊びが設けられてはいるものの、本質的には極めて限定された情報量をもとに行われる純粋な心理戦で、僕なんかは好きだけれど、淡泊と敬遠される向きも否定はできないか。

1ゲームが15分で終わるいわば50メートル走のようなタイトル。Neutral+

ボードやコマそしてコマのスタンドまで総木製のコンポーネントは“立派”の一言。ここまでくると工芸品の域。

レアリティの高いタイトルでもありますね。

“サマルカンド”(シド・サクソン/アバクス/1998年)

巨匠サクソンの市場ゲーム。3人。

セットコレクションをメインに、ハンドマネジメントやダイスロールといったメカニクスからなる、砂漠を舞台にした商いゲームで、移動については変型双六をベースにしているとも見える。

3種のマスにて商品の交換、購入、売却を行うことで利潤を得、いずれかのプレイヤーが既定の財産を築くことでゲームは終了。

運も戦略もバランスよく取り入れられた、古き良き直球のピュアユーロ。

本作ならではの突出したポイントこそ少ないものの、“行商”というフレーバーが上手く再現されており、無理も無駄もなく手堅くまとめられたデザインで、セットコレクションの妙味を誰もが安心して楽しめる一作かと。Neutral+

ドーン“イスタンブール”と本作を関連付けましょうか、どうしましょうか…。>識者各位

(余談:本作もそうですが同名別ゲームって結構ありますよね。どれだけ上げられるかでゲーマーレベルが計れるバロメーターとしても機能するかもw)

“マデイラ”(パウロ・ソレダード、ヌノ・ビザロ・センティエイロ/ホワッツユアゲーム/2013年)

前菜3種を終え昼食休憩ののち4人となって本日の主菜となりました。

ポルトガルによって発見された“木材”を意味する名前を冠する孤島を舞台にした開拓系。

ワーカープレイスメントやリソースマネジメント、ダイスロール、フードサプライ、個人ボードといった近年のフリーク向けユーロのメカニクスが網羅された感もある、ここのパブリッシャーならではのボリュームあるタイトル。そのボリュームがインストのハードルを高めるのは勿論のこと、情報量の多さから初回からスイスイとゲームを進めるのは困難な重量級。

要素が多いので何から手をつければいいのか途方に暮れそうですが、勝利に不可欠な大量の勝利点獲得のためには必須とも言えるタスクの達成を当面の目標に据え、そこから遡ってひとつひとつ足場を固めていくというのがまずはオーソドックスな攻略法か。

このタスクはある程度選択できるので、なるべく他者とかぶらないものを選択することで払う労力を軽減し、そこから複数のタスクを高い達成率でコンプリートし大きな勝利点をモノにするのが理想のカタチ。これらのタスクが絡み合っていることで本作の重厚なプレイ感が産まれているようにも思いました。

特徴的なのは一因多果とでもいえばいいのか、ひとつの判断が複数の結果を決定する場面が少なくない点で、それが一手一手の重みの要因にも繋がっているという印象。

良質なバランスで各種要素が無理なく詰め込まれた戦略性十分の歯応えあるフリークゲームで全5ラウンドはあっという間。Positive-

マイナスポイントは要素の量の割に取り得る戦略の幅は存外狭そうな気配があったことと、やはり収束性の悪さというか1ゲームに要する時間。これでもう少し早く終わるのであれば何度かのリプレイも考え得る完成度の高さはあるのですがね…。(やはり表記120分は伊達じゃない!)

とはいえトータルな完成度は非常に高く、この見知らぬ孤島を舞台にした未開の地の開拓やギルドや国王の補助、植民地への船出や貿易などからなる3時間半の攻防は濃密な現代テーブルゲームの快楽を存分に提供してくれました。



以上4タイトルにてこの日のゲーム会は終了。帰途では“やはりたまには重量級ゲーマーズゲームもいいものだ”という余韻にひたっていました。

2014/10/14

UDA土曜ゲーム会('14/10/11)

毎月恒例の自宅ゲームスペース(とはいえ諸般の事情により今回の会場は公共施設でしたが)“UDA”でのゲーム会のレポートです。

プレイできたタイトルについて簡単な感想などをアップしておきます。

“ボード・ゲーム・ギーク・ゲーム”(リチャード・ブリーズ/R&Dゲームズ/2009年)

世界最大のボードゲーム・データベース・サイト“The Boardgame Geek”の創立10周年を記念して出版された、ギークによるギークのためのギークのゲーム。略称は“TBGGG”。

メカニクスはダッチオークション、セットコレクション、ダイスロール等々。その上にフレーバーとして大量の名作ボードゲームが載る、という構図。

シンプルで分かりやすいルールながらどこにも破綻はなく、適度なインタラクションやジレンマもあって、純粋にゲームとしてもそこそこ楽しめるという印象。おそらくブリーズがエリック・マーティンに依頼されて3か月くらいでサクッと完成させてしまったのでは?というのはあくまでも僕の妄想ですが…。Neutral+

ボードゲーム購入のための原資となるお金は自社のタイトルを他プレイヤーに勝ってもらう以外に入手の手段がなく、資本のやりくりは常にカツカツでした。

実在する大量のボードゲームが実名のままコンポーネントに採用されており、ネタの宝庫というかなんというか…。見ればわかる圧巻のクラマーフレーム等々すべてのゲームタイトルを言い当てたくなるのがフリークの性で、中には分からないタイトルもあるのですが…

このようにしっかり解答も用意されているのでご安心をw もうほんと徹頭徹尾マニア向け!

“ルークplus”(作者不詳/1992年/パーカーブラザーズ)

切り札ありマストフォローのトリックテイクで、獲得したトリックの中から任意の一枚を選択し、ビンゴを行うというもの。

自分の狙っているカードそして相手が欲しいカードがあることからそれを見越したトリックテイクをプレイする必要がありそこが本作ならではの妙味。

なるほどこういう風にトリックテイクとビンゴをリンクさせることも可能なのだな、という発見で、とはいってもまあそれ以上でもそれ以下でもないという印象も拭えず評価は可もなく不可もなくNeutral

収束するの?というモヤモヤとした空気の中で、しかしながら油断しているとスパッと終了することもあって、だから切り札ありのマストフォローは怖いのかなー、とか。

“郵便馬車”(アンドレアス・ザイファルト/ハンスイムグリュック/2006年)

複数の適度に絡み合った“条件”があって、その“条件”の達成を目指すのですが、他プレイヤーと比べて相対的に早いほど高く“評価”されるシステムなので必然的に“競争”が発生するという仕組み。この“条件”の設定の仕方がまずは上手い。だからゲームが面白いという印象。

盤面の状況つまり本作の場合自分や他者のネットワークの状況、オープンされている6枚の場札等々から1点でも多く点数を獲得するための最大効率の模索を強いられるキリキリとした一作で、カードドローという運要素はありながらそれを十分に考慮したとしても競技性は高く、また整理すべき情報量の多さから言って“フリーク向けの本格派”というのが僕の中での本作の立ち位置。

テキストなしでこの水準まで持っていけるというのはユーロの可能性の提示ともとれ、そこにザイフェルトの手腕の高さを感じるなど。

収束性の高さなど様々な要素も加味して考えると、ハンドマネジメントとネットワークビルド(という割とよくあるタイプのゲーム)のひとつの到達点という印象さえ。Positive

このセッションのあと“競争”は果たしてインタラクションを発生させるかどうかということをずっと考えてしまう始末。例えば100メートル走に駆引きはあるだろうか、フルマラソンには駆引きは間違いなくあるだろうな等々。

“Pairs”(ジェイムス・アーネスト、ポール・ピーターソン/チーパス/2013年)

ペナルティを被ったプレイヤーのみが自分の場札を流せるという“コンティニュアス”ルール採用で5人プレイ。

良質なジレンマが産まれており“ベーシック”よりも間違いなくゲーム性は上で、僕などはこれこそが本来の姿ではないかと思ったほど。Positive-

とはいえ“ベーシック”もファミリーでお手軽にパーティゲームとして楽しめる良作で、過大評価気味に言えばここに本作の懐の深さがあるのかな、とか。

瞬間的な最大風速で勝負するような10分ゲームとして秀逸で、アートワークも素晴らしいですし、国内流通しないのが実に残念。兎に角広くプレイを勧めたい走り幅跳びゲーム。

(付言:“ベーシック”および“コンティニュアス”の用語の使い方については多分に個人的なものである可能性もあることをここに付記しておきます。)

“宝石の首飾り”(アンドレ・フローベル/シュミット/2000年)

競り上げ競り下げの二つのオークションとセットコレクションのカードゲーム。

単体の宝石を複数組み合わせることでできあがる“ネックレス”は大きな価値を生む可能性があり、そこに夢を見て各種宝石を落札し、収集していくのは単純に楽しい。

マイナスポイントはシンプルとはやや言い難いいくつかの例外処理の存在で、ここをどう見るかで本作の印象は変わってきそう。

僕自身はもう一度ルールを整理した上での再戦を望みたいけれど、この手のシステムのゲームであればザックリとした例外の少ないルール(クニツィアのような)こそ生命線という思いもあり今回の評価はNeutral-

随分昔のゲームながら美しいアートワークは完成されており、それがコレクションの楽しさを後押ししている点は見逃せない。

“クシディット王国記”(レジス・ボネッセ/リベユー/2014年)

言い訳を一切許さないキッパリ、毅然とした態度で迫ってくる女子学級委員長(メガネ)のよう。ゲームが優等生だからなおさらそのイメージw

名作“ヒマラヤ”のボネセ自身によるリメイクで、出たばかりピッカピカの新作。

1ラウンドで各自が6つのアクションをプロット、計12ラウンドでゲームは終了。各プレイヤーはゲーム終了時に採点される3つのパラメータを上げることに凌ぎを削る。

プロットを終え計画ボードから手を離したらそこからは一種の自動処理で、盤面がどのように変化した後であろうとも手直しや意志介入が一切不可能な点は名作同様で、まるで切れ味鋭い刃のようなメカニクスだ。ただそれ故に目論見が的中し思惑通りの展開から十分なリターンが得られたときの快感も本作ならではのもの。

ダイスロールが廃止されタイルによってモンスターやリソース(本作では兵士の形をとっているけれど)が盤上に登場するのでその点で変な偏りが発生しない点、また終盤での、特定の都市、リソースを指定しないモンスター、タイタンの導入など諸々良質な改善かと。

三段階にわたる足切りで最終的な勝者を決定するメカニクスも言い訳を受け入れない厳しさを感じさせ、フェルトとはまた違った方向性でのマゾヒズムさえ感じたり。

比較的シンプルなルールながら広い視野と多彩な選択肢の発想、そしてそこからの取捨選択とプレイヤーに求められるハードルは低くなく、明るいアートワークの衣を纏った(その実)フリークゲームというのが僕の中での立ち位置。

サプライの徴兵タイル、脅威タイルの処理がやや煩雑な点のみがマイナスだがいやしかしよくできたゲームと唸った。Positive-

あと蛇足ですが個人的には本作により“ヒマラヤ”の存在価値が下がったとは思っていません。入手困難なこともありますし、あのタイトルはあれでリプリントしてほしいくらい。

“ブラックフリート”(セバスチャン・ブリーズデイル/スペースカウボーイ/2014年)

(古き良き)ボードゲームの楽しさのブリーズデイルによるアップデートな再構築。

自分と他人、複数のコマ同士が所狭しと行き交い、パチパチとぶつかり合う楽しさ。そこにテキストによる特殊能力や拡大再生産的な要素を取り入れ、その楽しさを助長するという構図。

分かりやすく後腐れのない実にさっぱりとしたドンパチで、直接攻撃は嫌だ云々といった議論とはまた別の次元でのぶつかり合いに僕は一種新鮮な感覚さえ。

この楽しさ、そして収束性の高さはプラスポイント。逆にテキストの占有率、マネジメント性の希薄さなどはマイナスポイントになってしまうかな。

ただ“ウィウィルウォクユー”や“レミング”ましてや“キーフラワー”とは一味違うがこの何とも言えない“彼らしいゲーム性”に僕はブリーズデイルっぽさを感じてしまったのも事実。

時間の関係で残念ながら今回は途中協議終了となってしまい評価は保留(多分Neutral~Positive-)だけれど楽しめたのは間違いなく再戦の機会を作りたいもの。

僕がボードゲームに求める緻密なマネジメントの妙、短期長期的な視野で戦略を練る楽しさ、また他プレイヤーとの盤面での熱い駆け引き等々はここでは希薄ながら、しかし“ゲーム”の面白さは十分に担保されているというのが現時点での印象。やっぱりスペースカウボーイは悪くない。

“四天王”(セドリック・ルフェーブル/ルドノート/2011年)

ケーキの切り分け問題とエリアマジョリティ、少々の特殊効果といったメカニクスの上に日本の戦国時代というフレーバーが載る。

勝利点となる陣地の確保のために必要な“兵力”または“石高”、そしてさらに特殊効果や手番順で差別化されている“四天王”が加わり、計3つのカテゴリからそれぞれのプレイヤーの取り分を親が決定するという“ケーキの切り分け”がメインのメカニクスとなるピュアユーロ。

ゲーム全体の情報量は分かりやすく、きっぱりとコンパクトにまとまられており、長くても全6ラウンドという収束性の良さ、そしてテキストに頼らないゲームデザインにユーロ愛好者はほっこりしてしまう。とはいえ問題のカードの分配には当然ながら頭を抱えざるを得ず、プレイヤーの手腕が試される厳しさも。

たった4マスで所有者が決定される陣地の奪い合いは熱く、カードの選り分けに関して言えば如何に自分に美味しく、他人にはゴミのような組合せを作れるかが肝心なところだとは分かっていてもそうそう上手くはいかず、そこはまあ理想論ですかね。

ジワジワと控えめながら効果的な特殊効果も味があってよろしいかと。Positive-

欲張っても欲張らなくても勝てない、絶妙な塩梅を目指す妙味。



というわけでこの日は全8ゲームを楽しむことができました。ありがとうございました。ではまた次回!

追加の一枚。(いろんな所にネタが!)